赤字だった無印良品が「仕組み化」することで劇的に復活したことや、どのような思想を持って仕組み化しているのか知ることが出来る本です。
本の概要
無印良品には「MUJIGRAM」と呼ばれる2000ページに渡るマニュアルがあります。マニュアルには経営から商品開発、売り場のディスプレイや接客方法まで、仕事の全てのノウハウが書かれているそうです。
マニュアルと聞くと「決められたルールに縛られて窮屈になりそう」「上が作った面倒なルールを押し付けられそう」と感じる人も多いと思います。
しかし、無印良品では「マニュアル使う人が作る」「改善点があればどんどん修正していく」といった他、様々な工夫を行っています。
この本ではそんなMUJIGRAMを作る上での思想や考え方、作った事で実際に得られた効果やメリットが存分に描かれています。
「仕組みを作ることの大切さ」が学べる本だと言えます。
個人的な感想
前半戦3割くらいまでは「仕組みが大事」「仕組みによって、無印は復活した」という話を、似たテンポで繰り返されるので割とつまらないです。
当然ながら、立て直しはかなり大変だったのでしょう。
「きっと大変さは伝えたかったんだろうな」という感じが、悪い意味で滲み出てちゃってる気がします。
だったらもっと「エグいリアルな話」や、「起死回生の大逆転劇」が描かれていれば面白いのにと思いました。
ただ、それはやっぱり著者が伝えたかった事ではないんだと思います。
反対に、私が面白いなと感じた点は「徹底してやる事の重要さ」「徹底する事で生まれる、企業文化やカルチャーの強さ」が、この本で書かれている事の裏にあるんじゃないかな?という点です。
「仕組み化」することで効率が上がるという事は誰も否定しないでしょう。しかし、本書の中でも書かれている通り日本人は「仕組み化」を嫌います。
仮にそれが正解だとわかっていても、嫌になって無印を離れていく人も、多くいたと思います。
しかしそれでも、社長自ら覚悟をもって進めた事で、合わない人は去り、合う人は残り、結果「社員がしっかり同じ方向を向いた、強靭な文化」が生まれたんじゃないかな?と想像できます。
ここまで来るともう、きっと社長が明日辞めても会社が十分に回るような状態になっているはずです。
自分がいなくても完璧に回る組織を作るというのは「経営の一つの到達地点」でしょう。
そういった組織を作るために生み出されたのが「MUJIGRAM」であると考えれば、なんとも見事な経営手腕だと思いました。
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